fc2ブログ
 

仮題「競馬地獄篇」2

仮題「競馬地獄篇」2

馬並鹿次郎は2階へと続く階段をあがりながら またひとり呟いた

「だいたい この競馬自体 マグロ漁に似ている…」「へーそうなの」 相槌をうったのは 彼についてる

天使のマーチャンだった…

「漁師は大海にいる マグロを釣りあげるのが仕事なら」津軽海峡で漁師が ドデカイマグロを捕ってる光景が浮かぶ

「競馬をやる奴は ターフから数字を釣り上げるのが仕事だ」競馬場のターフで釣竿にでかい数字を釣り上げてる

姿があった

「互いに釣り上げた者には たんまり報酬が頂ける だからやるのだ」応接間のガラステーブルの上に3千万ほどの

札束が積んである光景が浮かぶ

「その釣り上げ方は 偶然ではない」「秘術を用い 誰にも知られてはならない」

「よって競馬場内は 差し詰め 忍者の秘術合戦の体を成す」観客席にも多数の忍者姿のものが 双眼鏡を覗きこんでいる

「皆 真剣なのだ マグロ漁師も 日夜 仕掛けづくりに苦心していることだろう」漁師は鉢巻をし 額からでる汗を止め 真剣な表情で仕掛けをつくっているのだ

「競馬に魅せられし者も 日夜秘術作りに寝食を忘れ 没頭していることだろう」皆が寝静まった暗い部屋で

あたりに気を使いながら 小さい明かりをつけ鬼気迫る顔で競馬研究する若者 異様な熱気が充満している

馬並鹿次郎は現実に戻ったかのように語りだす

「そして私も 百以上の馬券術を作りあげ 皆から術つかいとして 一目置かれる存在になった」

「数千万が動く 馬の予想家として 一時は輝きを放ち やがて プレッシャーに潰され 今は 気楽なフリー稼業だ」

おっと!ぶるぶると頭を振る馬並 「今は過去の思い出にふけっている場合じゃねー」「俺は勝たなきゃ明日はねーぜ!」オッズ画面を睨み付け 凄まじい真剣顔に変貌する馬並

ささっと 投票カードに書き込み 券売機で馬券を買う

レース発走をみとどける馬並 「発走しました!」絶叫するアナウンサー 画面を見つめる多数の観客

場外の観客達も声を荒げる 「いっけーそのままだ!」「こいっ!」「させーっ」馬たちはゴール板を駆け抜けていく

「あ~だめだこりゃ」「畜生~なんで来ねーんだよ~」皆肩を落として立ち去っていく 馬並鹿次郎の方はどうか
ずずっ 柱に寄りかかってしまった 手元からは 馬券が落ちていく ひらひらと馬券が地面に落ちる

「はずしたか…」肩を落としてしやがみこむ馬並
「こんなことは2度や3度じゃねー何度もあるぜフフフ」落ちてる新聞を見だす 天使のマーチャンが笑う
「あらあら 新聞なんて素人がみるもんじゃなかったっけ?」「うるせー黙ってろ!」顔から汗が吹き出す

椅子に座ってグターッとなってる馬並 天使のマーチャンが声をかける「どうしたの?伝説の馬券師さん」
「馬のスタートの出遅れた゛見なくてもわかる…」「競馬というのは 法則と運だからなー」

「りきんでも しょうがねー」長椅子に寝ながら新聞を見る「つぎのレースは堅いがヒモの点数が多くなって
ヘタすりゃー足が出るぜ」財布を懐から取り出し中身を見る馬並鹿次郎「所持金は残り2千円と少し…」
「なくなりゃー街をうろつく野良犬になっちまう やがて一日一日を食うためだけに生きる奴になっちまう…」
「あとは体が壊れてポイ捨ての運命だ」「ちっ!」

「次の次が勝負レースだな」「人気馬2頭のうち どっちかが必ず3着までに来る!」
「そうすりゃー3連単勝負だから 中央競馬専門の俺でも1週間は食い繋げる金が入ってくるというもんだぜ」

ーそしてー
馬たちが4コーナーを回りゴール板を駆け抜けていった
「レースは馬並鹿次郎の読み通り 軸馬3番人気馬が3着に入り 一番人気馬がハナ差4着に沈んだ 」

「このレースは馬並鹿次郎に運が味方し 10万馬券として褒美が与えられたようなレースとなった」

歓喜に沸く馬並鹿次郎 払い戻し機から10万以上の大金をせしめ 懐の財布に突っ込む そして

「今日の闘いも決して楽な闘いじゃなかったぜ…」と呟き 新宿の街へ消えていったのだった
スポンサーサイト




Guide
  •  …この記事と同じカテゴリの前後記事へのページナビ
  •  …この記事の前後に投稿された記事へのページナビ
 

~ Comment ~

  ※コメントの編集用
  シークレットコメントにする (管理者のみ表示)

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

MENU anime_down3.gif

同じカテゴリの記事が一覧表示されます
同じタグの記事が一覧表示されます
更新月別の記事が一覧表示されます
キーワードで記事を検索